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家系

 雨後のタケノコ状態で巷に家系ラーメンが溢れている。昔はほぼ神奈川県下でしか食べられなかった家系だが、今では家系がない街はない、というくらい何処にでもある。ぼくの棲む梅ヶ丘という小さな町にだって「せい家」というチェーン店があるし、近所の下北沢にも三軒茶屋にも経堂にも駒沢大学にも家系はある。どうしてこんなにも拡がったのか?ぼくはラーメンマニアではないからラーメン食べ歩きのようなことはしてないし、根性もないので行列が激しい店なども敬遠してきた。総本山吉村家も、店頭の行列に恐れを為して食べたことはない。それでも、一週間か二週間に一回は家系ラーメンを食べるようにしている。今のところぼくの理想の家系は川崎砂子町の「武松家」である。川崎までその一杯を食べに行くほどに旨いと思う。家系進化系とでも云うべきクリーミーなスープ、具材のひとつひとつもクオリティが高く、ともすれば食べている途中で飽きが来てしまうオールドスクールな家系ラーメンのそれではない。ラーメンの世界は、それにしても不思議だ。二郎インスパイア系もそれこそ巷間に溢れているが、三田の「二郎」にインスパイアされたラーメン屋の総称、「二郎」での修行経験なく、ひたすらその味の再現と進化を目ざしているラーメン屋を我々はそう呼ぶ。ラーメン業界では「インスパイア」されていることはちっとも恥ではないのだ。「インスパイア系」という言葉を誰が生み出したかは知らないが、いい言葉だと思う。誰だって何かの影響下にあるわけで、むしろそれを隠さないという美学。佐野さんもデザイナーじゃなくてラーメン屋だったら…。そう思わずにはいられない。さしずめヤン・チヒョルトインスパイア系か。遅かれ早かれ佐野さんが耐えられなくなるのではないか、と思っていたけど、ついにその日が来た。既に発注したエンブレム入りのポスターや幟の被害額は4600万円だそうだ。意外と大したことない。それくらいだったら、この「幻のポスター」「幻の幟」をヤフオクに出品すればすぐに回収できるだろう、たぶん。

 

 今回の佐野さん騒動をぼくは大いに楽しんだ。招致活動や「おもてなしブーム」、そもそも「福島は完全にコントロールされている」という安倍のウソから始まり、東京に決まった瞬間の浮かれポンチたちの貌など2020年東京オリンピックを目の敵にしてきたぼくとしては先日の国立競技場問題に続いて痛快極まりない出来事である。これは俺の呪いか?次は「原発」に何かありそうだ。ただの予感。それにしても、ネット住民たちの佐野さんへのルサンチマンには戦慄を憶えた。博報堂出身、43歳にして多摩美の教授であり、広告業界のまぎれもない成功者に対する悪意ある「探偵」。小保方、佐村河内、佐野。日本三大疑惑のカリスマ。佐野さんがエンブレム発表という晴れやかな記者会見の場でポロリと漏らしていた本音、「不安」は的中してしまった。佐野さん自身がいちばん分かっていたことだろうから。「俺はインスパイア系だからなー、パクリとか云われたら嫌だなー」と心の片隅で思っていたのかもしれない。一抹の不安って奴がものの見事に。手を抜き過ぎなのだ、そもそも。何でもかんでもネットで捜して転用盗用。羽田空港の写真くらい自分で撮りに行けばよかったのに。ネット依存症佐野さんがネットに復讐された、そう見るべきか。次の標的は誰だろう?無名の「探偵」たちがネットの向こう側で獲物を待っている、こうしている今も。

 

 ところで、8月は5個の展覧会があり、先週末の窓展を終えた土曜日の夜は何だかドッと疲れてしまい…。9月は一転2個。12日13日の好書会@高円寺と25日26日の五反田遊古会。久しぶりにホームに還ります。

at 09:22, 古書赤いドリル, -

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