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8月19日、中村計さんの新刊を読む。

甲子園はベスト4が出揃った。作新学院、秀岳館は順当。明徳は今回珍しくクジ運がよかった。どんなチームとやってもそれなりの戦いができるのが明徳義塾、つまり馬淵監督。とはいえ最近は強豪校と早めにぶつかってしまい早々に散ることが多かった。今年の春はセンバツ連覇を目指した龍谷大平安、咋夏は春夏連覇を目指していた敦賀気比、一昨年の夏は優勝した大阪桐蔭、もう少し遡れば藤浪のいた大阪桐蔭(このときは準決勝だった)、春夏連覇した興南、春準優勝夏優勝の日大三高…キリがないがそんな感じだった。今回、2回戦からの登場で相手が境高校に決まった時に少しホッとした。次戦が沖縄の高校で嫌な感じはあったが思いがけず圧勝。準々で鳴門高校だったが中野が完投。ここまですべてがうまくいっている。準決勝は作新学院。馬淵対小針。ぼくにとっては最高のカードが実現した。力は作新のほうが遥かにあるが、馬淵さんがどう食い下がるのか。走塁と守備力は互角ではないだろうか。小針監督も打撃力プラス守備力のチームを毎回作ってくる。今年もほんとうにいいチームである。もう1試合も面白い。鍛冶舎さん率いる秀岳館と平川監督の北海高校。北海高校は投手の出来次第になりそうだが、今や全国屈指の激戦区南北海道を勝ち抜いた北海高校である。僅差のゲーム展開に持ち込めたら面白い。しかし、秀岳館の打力はまだまだこんなものじゃないない気もしている。  久しぶりに南北海道のチームが優勝を狙えるところまで来た。駒大苫小牧以来ではないか。北海高校の平川監督は駒大苫小牧の監督だった香田さんと同い年でかつてしのぎを削っていた。いま、香田さんは西部ガスのコーチである。去年今年と激戦の九州地区を勝ち抜いて東京ドームに来た。今年も西部ガスを応援していたが、最後の最後で逆転負けしてしまった。東京ドーム初勝利はまたおあずけになった。香田監督率いる駒大苫小牧にぼくも熱狂したひとり。香田監督が駒大苫小牧を退職するまでの2年間ほど道スポを購読していた。鶴見大コーチに決まったとの記事を見つけて購読をやめたのだったか。それは2008年の冬だったろうか。安倍昌彦さとならんでんもっとも敬愛する野球ライターの中村計さんが分厚い一冊を出した。『勝ち過ぎた監督 駒大苫小牧幻の三連覇』。発売数週間前にamazonで見つけてすぐ予約、自宅に届いて既に2回読んだ。香田監督がいかに凄い監督だったか、ぼくも過去に何度かここで書いてきた。何故凄かったのか、どう凄かったのか?「凄い」の中身にとことん迫った「決定版・香田誉士史」である。そして、積年の疑問、あの日、香田監督はわざと負けたのではなかったか?という疑問にもこの一冊は答えてくれている。高校野球とは何ぞや?という問いかけにすら答えている。アメトークなどの影響もあるのだろうか、いま高校野球は盛り上がっているように思う。甲子園の入場者数が半端ない。マスコミも「BIG3」だ「BIG4」だと煽るから尚更だ。そういった「タレント」が高校野球のA面の華ならば、名監督はB面の華である。ぼくは高校野球はNHKで観る。何故なら監督インタビューがあるからだ。BS朝日(つまりABC)は選手のインタビューしかないのでつまらない。最近、ナンバーWEBの記事で中村計さんが「監督の迷言集」といった記事を書いてくれてこれが最高だった。「書いてくれて」と敢えて書く。あの馬淵さん中傷ツイッター騒動があった直後に発表された記事で、馬淵さんや聖光学院の斎藤監督のエピソードが最高である。ぼくが駒大苫小牧に惹かれて追っかけだして、その中でも最高と思われる試合は、2005年の鳴門工業戦と2006年の青森山田戦。偶然にもこの2試合は甲子園で生観戦しているのだが、衝撃を受けたブレーが鳴門工業戦で見せた岡山選手の走塁だった。このプレーを中村計さんは「このプレーには香田の思想、駒大苫小牧の練習のすべてが詰まっていた」と書いている。駒大苫小牧の魅力はバッティングと走塁、そして堅調な守りだった。その駒大苫小牧の「守備力」の本領について中村計さんは解明している。香田監督の異常なまでの「カバーリング」への執着が実に面白い。今大会、ぼくは常総学院の茨城県大会決勝における左翼手のカバーリングと送球の素早さに驚き「優勝候補」を確信したが、そういった細かい野球を追究した点で駒大苫小牧は革命的だった。ちなみに、今大会、明徳義塾も常総と同じカバーリングで得点を防いだことがあり、さすが明徳と感心した。甲子園を勝ち抜けるのはクジ運と守備力なのか。本の話に戻る。この本は駒大苫小牧の強さの秘密を解き明かしているが、それは同時に香田監督の人間像に肉迫し解剖してゆく作業でもある。また、駒大苫小牧の光と影がめまぐるしく交錯した数年間の「影」の部分についても筆をゆるめることはない。優勝と「不祥事」を繰り返した駒大苫小牧。高校野球は「悪意」と「善意」によってできている…とすら思えて来る。あの早実との決勝戦、わざと負けたのじゃないか?とぼくが疑いをもった延長戦における「スクイズ失敗」について香田監督が語った言葉とは?「100年にひとりの監督」、誰よりも「勝利」に取憑かれた青年監督の実像をあますことなく書き記した418頁、少しでも高校野球に関心があるのなら読むべきだ。普段「読むべき」と云う表現はまず使わないけれど、高校野球について語る人間があまりに多いので敢えて使ってみた。…それにしても。香田監督はこのあとどういう野球人生を歩むのだろう。鶴見大コーチ時代は鶴見大の試合結果をチェックし、西部ガスコーチになってからは都市対抗出場を楽しみに待っている。しかし、正直物足りない。やはり高校野球の監督がいいな。また、マー君と同級生であの年の副キャプテンだった本間選手は今夏の都市対抗にも出場、JR北海道の主力選手として奮闘している。駒大苫小牧から亜大に進学した本間選手、2年、3年時は試合に出れずスタンドで応援している本間選手をいつも気にしていた。スタンドの応援団(つまり控え選手)を盛り上げている姿をよく目にした。4年生の本間選手は極端に短く持ったバットで現巨人の澤村からホームランも打った。そして今年の本間選手も、まるで野球漫画かというくらい短く持ったバットで打席に立っていた。いま、日本で最もバットを短く持つ野球選手、魅力はちっとも色褪せてない。

at 23:05, 古書赤いドリル, -

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