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1955年

 カープが負ければ、少しは凹む。やり場のない怒りや苛立ちにに戸惑いもする。40年ファンを続けていても、それに馴れることはない。ここ数年のカープがちょっと強いだけに、たった一つの負けが尾をひくときすらある。そんなカープの敗北に比べれば、サッカー日本代表が勝とうが負けようが何の影響もないと思っていた。岡ちゃんが好きだったから岡ちゃんの時こそ応援したけれど、基本的なスタンスは「どうでもいい」。4年前のW杯のときはその負けっぷりに爽快な感じすらしたし、中田英が寝っころがっているときなど寒気すらした。そんな非国民なぼくの心を西野監督は動かした。ポーランド戦の後半のいわゆる「ボール回し」作戦だ。素晴らしい、ぼくは一気に色めき立ち、セネガルとコロンビアの試合にチャンネルを変えた。敗退は決まっているけれど「勝ち点3」の手土産が欲しいポーランドと、失点のリスクとファウルのリスクを減らし、是が非でもグループリーグを突破したい日本の利害が一致、10分間のブーイングと目の前の試合の敗北よりも決勝トーナメント進出を確実にしたいというものすごく理にかなった戦法、あとはコロンビアが1点を守りきることだけ。セネガルが1点取ってしまったら破綻する作戦ではあるが、コロンビアも必死に守備することは明白。結果、西野監督は決勝トーナメント進出という「任務」を全うした。この賞賛すべき作戦を批判する人がいることに驚いた。もっともリスクの少ない戦法を選んだだけなのに。ぼくは、ぼくがもっともリスペクトしている野球人を思い出していた。明徳の馬淵監督である。馬淵監督は当時37歳くらいだろうか、エース不在の自チームが星稜に勝つための最大の戦法「松井五敬遠」を選択。これは常にクリーンナップとランナーを置いて勝負するというリスクのある作戦だったが、松井にホームランを打たれるよりはリスクが少ないと判断した馬淵監督の「賭け」だったと思う。いわゆる、「クサいところをつきながら」では投手の神経がすり減るし、次打者にプレッシャーをかける意味でも敢えて「敬遠」した。結果、明徳は薄氷の勝利を得たが、世間から大バッシングを食らった。その後、なかなか甲子園に戻れなかったことを考えると、松井にホームランを打たれていた方が「楽チン」だった気もする。しかし、何も「反則」はしてないのに、あのような大バッシングが起きたことは、どう考えても異様。松井が5回四球で出塁しただけのことなのに。西野監督は馬淵さんほど太々しくないから、「不本意」などとお茶を濁したけれど、最上の策を選んだに過ぎない。見た目はふてぶてしくないけど、豪胆な人だと感嘆し、次のベルギー戦は素直に応援し、素直に感涙した、非国民のくせに。サッカーに興味ないけれど、全く飽きることのない至福の時間を過ごすことができた。西野監督と馬淵監督はともに1955年生まれ。世間の目を懼れることなく信念の采配ができる両監督は同世代である。今年の、100回目の夏にこそ、馬淵さんに主役になってもらいたいと思う。  

 

 

 そして、今朝。ふたりと同じ年に生まれたひとりの男が死んだ。麻原彰晃、死刑執行。

at 10:24, 古書赤いドリル, -

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古木 均, 2018/07/07 11:12 AM

ありがとうございます。読ませていただきました。少々ご無沙汰をしておりますが、お変わりなくお元気ですか。近いうちに、お目にかかれる日を楽しみにしています。飲みましょうヨ!

赤いドリル, 2018/07/08 2:55 AM

古木様
ご無沙汰しております。花園、お疲れ様でした。疲れは癒えたでしょうか? 私は、今週からやっとのどかに仕事してます。2月くらいからずっとバタバタしておりましたので。是非、のみましょう! 宜しくお願い申し上げます。

エージ, 2018/07/09 6:25 PM

ご無沙汰しております。
私も、日本vsポーランド戦を観ていて、同じように明徳義塾vs星稜がよぎり、これは松井の敬遠策みたいだと我が家でも話しておりました。
地区予選が各地で始まりました。また是非野球話を聞かせて頂けたら嬉しいです。
暑い日が続いています。ご自愛下さい。

赤いドリル, 2018/07/10 6:18 AM

エーちゃん!!

あれ以来、ご無沙汰しててすみません。ご家族の皆さんも元気に過ごしてることと察します。エーちゃんもあの試合を思い出しましたか。今年の100回大会、レジェンドによる始球式があるらしいのですが、松井が明徳戦で始球式やったら話題になるなあ、と密かにワクワクしてます。

今年の夏こそ、みんなで遊びたいですね。ビールと肉で。










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